御殿堰の生き物たち

▼【植物】 オキナグサ

2012年11月3日 絶滅危惧植物U類



昨日は大分冷え込み、蔵王山系の雁戸山(1485メートル)と瀧山(1362メートル)では初冠雪を観測。
山形市の蔵王温泉スキー場にも雪が降り、ゲレンデなどがうっすらと雪化粧したのだそうです。

今日も寒空ですが、山形県立村山農業高等学校『バイオテクノロジー部』で活動する部員さん・先生が御殿堰に素敵な贈り物をしてくださいました。


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山形県立村山農業高等学校『バイオテクノロジー部』では、絶滅危惧種「オキナグサ」保護活動を行っているそうです。

大切に育てた「オキナグサ」を、御殿堰に植樹してくださったのです。
種から育てた「オキナグサ」は、育てはじめて2年目のもの。
「オキナグサ」の今の様子は冬支度を始めた状態のようです。


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■オキナグサ■

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 キンポウゲ科 多年草
 全長10〜30cm程度
 環境省レッドデータブック
 絶滅危惧U類に指定

5月頃に花を咲かせて6月からは白い綿毛のような種子を作る。
この種子が、お爺さんの白いひげに似ているため、「翁草」と呼ばれる。

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数十年前までは人間の生活域の近くで見ることができた植物。
適度に攪乱された場所を好むのだそうです。
元来、人里で育つ植物であり、昔から人間の生活に深く関わってきた植物の一つ。
しかし、現在はほとんど見ることが出来ません。
自生地からは、趣味者による乱獲や環境の変化によって姿を消しています。
山形県内には数カ所の自生地が確認されているのみとなり、自生地は残り数カ所と、生息数が大きく減少している。


以前は山形県内に多くの自生地があり、なじみ深い植物の一つでした。
特に、山形県出身の歌人齋藤茂吉は、短歌の題材としてオキナグサを好んで用いていました。
斎藤茂吉にとってオキナグサは、山形を懐かしむ植物だったようです。
そのため、齋藤茂吉の生家や疎開先など関係のある施設の近くには、現在も決まってオキナグサが見られています。


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【斎藤茂吉が詠んだオキナグサ】


白頭翁 ここにひともと あな哀し 蕾ぞ見ゆる 山のべにして 
                   (ともしび 昭和25年)

おきな草 口あかく咲く 野の道に 光ながれて 我ら行きつも
                   (歌集「赤光」より)

われ世をも 去らむ頃にし 白頭翁 いづらの野べに 移りにほはむ
                   (歌集「あらたま」より)

おきなぐさに 唇ふれて 帰りしが あはれあはれ いま思ひ出でつも
                   (麓次郎著「季節の花事典」より)

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来年の雪解けの季節が待ち遠しくなりますね。
「オキナグサ」の様子は、またこちらでご案内させていただきます。


山形県立村山農業高等学校「バイオテクノロジー部」の皆様。
大切に育てた貴重な「オキナグサ」を御殿堰へありがとうございました。


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山形県立村山農業高等学校「バイオテクノロジー部」の活動は、こちらのサイトで詳細をご覧いただけます。

絶滅危惧種「オキナグサ」保護活動  おきなの花道プロジェクト


http://www.murayama-ah.ed.jp/12-okinaHP/katudou.html
2012.11.03:g-ikimono

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