幻想
正月早々に・・・・役員は辛いよぉ〜!!
元旦午前1時に神社に集合。3時までそこに居てほしいとの事。うそっ!何をやらされるのかしらん・・・気が重い。村に住むってこういうこと?ね、こんな時、実感しちゃうよね。でも、嫌な事ほどやっておくと後が楽になるから、しゃぁないかなぁ。呪文のように、何度も何度も、自分にそう呟き聞かせて稲荷神社に向かった。雪道は、街頭の明かりに照らされて、ほのかに明るく、元旦の朝という事で凛とした空気が心地よかった。 鳥居をくぐると、村の役員のおじさんが居て 「ああ、来たのがぁ、こごさ、いでけろなぁ。ごぐろうさま」 と労う。甘酒の大鍋の前で、参拝者にそれを振る舞う仕事が私の担当らしい。こんな小さな神社に、誰が来るのかとタカを括っていたが、近くでカウントダウンのイベントをやっているとかで、若者が仲間と連れ立って次々と初詣に訪れる。 「若者も、信心があるんだなぁ、意外。」 失礼な私の意見はともかくとして、人が切れた午前2時、パチパチと音をたてて焚き火の燃える様子を遠くから見つめていた。火の粉は小さくなりながら、空へ空へと舞い上がり消えていく。そこには大きなイチョウの木が聳え立ち、モチモチの木の様に両手を天に向かって広げていた。 2時半。若くお洒落な風貌の女性が、たった1人で参拝に来た。甘酒の入ったコップを両手で包むように掴み、嬉しそうに飲み干す。 「向かいのホテルに泊まっているんです。買い物に来たら目に付いたんで・・・」と買い物袋片手に、話しかけてきた。その後、焚き火の側に歩み寄り、タバコをふかし始める。煙がふわっと風に流れる。黒い空に冷たい空気、赤々とした炎。時間が止まってしまったかのようだ。なんだか、昔話の中にいるみたい。 「交代だよ」もう3時。帰宅してもナゼか興奮気味の私は、バーボン1杯ではおさまらず、中々寝付けなかった。 |
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