カシラーナカ

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 消防団は火災発生時以外でも出動しなければならない時がある。

 その中のひとつが「水防」、つまり洪水の警戒や被害の軽減を図ることも消防団の役目なのだ。土のうを積んだりしなければならないので、大変な重労働である。

 以前、我が班の管轄内で大雨により川が増水し、民家の庭が水没したことがあった。川からの流入を防ぐため土のうを積んで、庭の水をポンプで吸い出す作業をしていたが、人手が足りず、隣の班から応援に来てもらうことになった。

 水没した庭の真ん中には池があるのだが、庭全体が水没しているので見ても分からない。それを知らずに両手に土のうを担いできた隣の班長が…

 ドッボーーーン!!

 池に落ちた。両手に土のうを持っているので、当然沈む。
 何とか立ち上がり再び水面上に出た隣の班長は、それでも土のうを手から離していなかった。隣の班長、グッジョブ!
 みんなが大笑いする中「そこ池あるよ」と私が言うと、「先に言えー!!」と隣の班長。ごもっとも。

 民家への浸水は防げたが、隣の班長のケータイへの浸水は防げなかった。無念…。次回の水防には防水ケータイをおすすめしたい。

 先月、消防団で住宅用火災警報器の一括共同購入事業を実施した。

 これは住宅用火災警報器の設置義務化に伴い、まだ設置してない地区民に対し、購入希望者を取りまとめ、安価で提供するというものだ。

 でも、腑に落ちない。私が班長だった頃は「消防団は火災警報器を販売してはならない」と消防本部からのお達しがあったはずなのに、どういうことだろう。

 結局、今になって、設置が計画通り進んでいないもんだから、消防団に押し付けてきたのだろう。


 行政側の身勝手な日和見主義には心底うんざりする…。


 たぶん、火災警報器片手に地区民の家を訪問して「消防署の方から来ました」とか言っちゃったに違いない。怪しまれて名前を聞かれ時、うっかり「オレ、オレ!」とか答えたに違いない。

 昔からよく「結構、根に持つタイプだね」と言われてます。(購入希望者の取りまとめは先月末で締め切りました)

 あまりパッとしない流行語大賞が発表された。「ゲゲゲの〜」なんて、いったい誰がどんなシチュエーションで使うんだろう。

 それはさておき、我が消防団の今年の流行語大賞は、
 ズバリ「熊出没注意」だと思う。

 創立記念日の中学校に侵入した後射殺され、全国ニュースを賑わしたクマを筆頭に、当地域では、それこそ毎日クマによる被害や目撃情報が相次いだ。そうした事態を受け、なぜか消防団に対して出動要請がきたのだった。
 とはいえ、消防団がクマと格闘して退治したとか、クマだと思ったら消防団員だった…とかではない。クマが活発に活動する早朝と夕暮れ時に、警鐘を鳴らしながら地域内を巡回するのだ。

 しかし「火の用心」じゃなく「クマ用心」なんて…、生まれて初めてだ。でも、思い当たる節はある。

 実は昨年の春と秋、自宅の庭でハクビシンとタヌキにそれぞれ遭遇している。一応断っておくが、我が家は中心市街地のド真ん中である。しかし最近、急激に自宅周辺が野生化している気がするのだ。有機農法の普及、地球温暖化による自然環境の変化、里山の荒廃による境界の喪失など、要因はさまざまあるかもしれないが、いるはずのない生物がいきなり目の前に出てくると、誰だって面食らってしまう。

 久しぶりに布団を上げたら、畳からキノコが生えていたときは、さすがに面食らった。

 あと、久しぶりに鏡を見たら、妖怪のような鼻毛がはみ出していたときも面食らった。思わず「ゲゲゲの鼻毛!」と叫んでしまった。…あ。