ユーラシア・アフリカ大陸 684日
(中村安希:著 集英社 2009年11月)
26歳の女性である筆者が、一人で47カ国、2年の旅をした。
それも、中国から東南アジアやパキスタン、中央アジアからイラン・シリア・イスラエル、さらにアフリカの北から南へ向かいさらに西側へゆき、ヨーロッパにわたり、リスボンで旅を終える。
45リットルのバックパックに修羅増や着替えなどを詰めて。
旅を焦らないという旅。
安宿に泊まり、ときには現地で知り合った人の家に招かれるままに家でしばらく過ごしていく、というような旅を続けていく。
読んでいて、大丈夫なのだろうかという思いとともに、人の懐に入っていける著者の感覚を羨ましく思う。
特に、時期にもよるのだが、旅行をするのは危険であるという状況の国や、一般に危ないと言われている地域にも行っている。
例えば、イランである。
ガチガチのイスラーム教徒が住んでいるというイメージがあるイランの一般家庭に招かれて、その家族といるうちに、どこか私たちは知らず知らずに、怖い国のイメージイコール一般人という考えに陥っていないか、という疑問を持つ。
その地に旅して、普通に生きている人と接してみなければけしてわからないで終ってしまったことであったろう。
旅は、旅のし時があるかもしれない。
例えば、アフリカのどこかわからない道を、疾走するトラックの上部につかまって気を失いそうになりながら移動するなんてことは、歳を重ねてからは不可能なように思う。
また、国際協力で発展途上な国や地域に派遣されて仕事をしている人々の実際の状況なども興味深い。
50才を越えて、どれだか冒険ができるだろう?
旅に出てみたいそう感じた。