「老いのうぶ声」

御茶ノ水女子大学名誉教授の故波多野完治先生は、八十歳から俳句を始められ、九十二歳ではじめて句集を出された。その書名が「老いのうぶ声」というのである。

あとがきの中で、波多野先生は、中高年になってから新しい事項を学習するには「先生」は絶対必要である。しかし、その先生を選ぶにはよほど慎重にことを運ぶ必要があると、いっておられるが、これは確かにそうである。

日本の先生は、生徒を自分の思う型にはめようとやっきになって、楽しさを奪ってしまう人が案外多いからだ。

(「縦糸横糸」より)

2006.11.16:反田快舟:[自分を見つめる]