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▼『定年漂流』

今まで仕事の必要性から、定年前の男性に「生活の仕方のキャリア形成」をやってもらおうと思って、今、面白おかしく(女性にとっては本当の話かもしれません)いわれている、「妻」からみた「夫」像をできるだけ客観的に伝えてみようと思い自分なりにその手の本など読んでいます。
その本が前に紹介しました「夫よあなたがいちばんストレス」や「定年ちいぱっぱ」でした。
今回のその延長で「定年漂流」という本を読んでみました。
読後感は前の2冊とは一味違いました。
著者は1941年、東京生まれ。作家、画家、であり小説エッセイを書いておられる方です。
エッセイの全国的な同人誌「日曜随筆」も編集委員も努めておられます。
そのせいか品良い内容で文章きれいです。前の本と同じような題材を扱っていますが、読んだあとの印象がさわやかでした。
「変身みの虫」という題から始まって15のお話を書いておられます。
そのなかに「しめころの木」という一説があります。
しめころしの木というのは「カジュマルの木」です。
しめころしの木は巨木にからみつき養分を吸い取って大きくなるのだそうです。
定年を迎えた「妻」は「夫」を自分の養分をすいとってしまう「しめころしの木」と一度は思いました。
それがあることがきっかけとなって劇的に夫が変身していくという物語(事例)です。
また「絶望のソナタ」という説では、長谷川さんが先日紹介してくれた「鏡の法則」の熟年男性版です。
だめな「夫」が、じつは子供のころ母親から弟と差別され、それを背負ったまま定年を迎え、引きこもり的になっていましたが、そのことをあるきっかけで「妻」に開示することにより好転するというお話です。
前の2冊と違って救いを感じることができました。
本書は西多摩新聞に連載されたものだそうですが、堀田力さんが後書きに書いています。
「著者は、文庫本あとがきで、定年男性たちに「天敵」と呼ばれたと書いておられるが、彼女は天敵ではなく、天使である」と。
女性の方々にもお勧めしたい「いい本」です。文庫本ですからあっというまに読めますよ。


著者:西田小夜子
出版社:小学館文庫
価格: 520円(税込み)

by 長朗

画像 ( )
2006.02.18

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