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▼「ニート」に関する日経の記事より
4月13、14、15日の三日間にわたりニートに関する連載記事が載りました
私(長朗)なりにまとめてみました。
★13日 玄田 有史 東京大学助教授
☆要旨
@ バブル経済崩壊後の10年で、無業の若者は80万人増えて二百十万人を超えた。
Aこのうち就職活動もしないニートの大多数は高等教育を受けておらず、低所得世帯の割合も高まっており,日本社会の階層化の進展を象徴している。
☆ポイント(主観的把握)
@ニートが話題になり始めたとき、ニートは裕福な親が子供を甘やかした結果、就職に対して無気力になったのだという批判をよく耳にした。しかし実態は大きく異なっている。ニートが生まれるのは、経済的に余裕の在る家庭よりも、むしろ経済的に苦しい家庭であるという傾向が強まりつつあるのだ。
Aニートの非求職型では、「探したが見つからなかった」「希望する仕事がありそうにない」という理由で求職活動をしていない人々が増えつづけている。
自分の能力への自信の欠如がニートの特徴となっている
B働けない理由として「病気・けがのため」と答える人々が急増している。ニートのおよそ半数は、過去に就業した経験をもっているが、職場の過重な業務やノルマによるプレッシャーで心身の健康を害し、結果的に働けなくなっている場合が多いかもしれない。職場環境の悪化がニート増加の一因になっているとすれば、職場のメンタルケアも重要な対策ということになる。
★14日 小杉 礼子 労働政策研究・研修機構副統括研究員
☆要旨
@新卒採用に明るさが見えたとはいえ、学歴が低く、年齢が若い者ほど就職が厳しく、フリーターなどに陥りやすい状態は改善していない。中学卒(高校中退を含む)がおよそ3割をしめる。
Aニート状態のまま年齢を重ねる団塊ジュニア世代の自立促進策や、早期化・インターネット化した大卒採用の仕組みの柔軟化も必要である。
☆ポイント
@20歳代後半から30歳代前半のフリーター・ニートが増加してきている
A産業界の人材需要が高等教育卒業者に向かう傾向は多くの先進諸国で見られる。この背景には産業構造の高付加価値型への転換があると思われるが、多くの国では若者への影響はすでに1970年代後半から80年代にかけて表れている。
B日本では90年代初めまで、中等教育レベルでも新規学卒採用を活発に行い、その後長期的な雇用を前提に企業内で育成するという慣行が行われていた。多くの若者が学校から職業生活へとスムースに移行できた。
C90年代に入って、一転して新卒採用を厳選化。学校から企業内へと直結する育成システムに乗れない若者が急増した。
Dフリーターやニートの高齢化が進んできている。ニート状態が長くなれば、就業への移行はかなり困難が伴うことが予想される。
Eこのフリーターやニート状態の人の多くが親元で同居している。
F大学3年の後半で突然就職と向き合い、キャリアの方向付けもできないまま。インターネット経由の、公平だが基準を持たないものには大量すぎる求人情報に流され、結局、途中で就職活動をやめてしまう学生が少なからずでている。
★15日 厚労省の若者ニート対策
☆要旨
@厚生労働省は今年度から「若者自立塾」の設置を進める。合宿生活を通じ若者に働く自信と意欲得を身に付けてもらうのがねらい。
☆ポイント
@宿泊施設で生活しながら、資格取得などの勉強をする一方、近隣の商店や工場の協力を得て労働体験を積む。働く自信をつけさせアルバイトや社員になって自立するまでスタッフがめんどうをみる。
A構想の旗振り役は玄田有史東大助教授である。
Bこうした自立塾を全国20ヶ所に設ける計画で、広く民間事業者から提案を募ったうえ、塾の実施者を選び奨励金を支給する。
Cひこもり問題に携わる斎藤環先生は慎重派。おなじニートでもひきこもり系と非行系に分かれる。合宿所に非行系が沢山いると、ひきこもり系がいじめられる。
D早稲田大学の菅野純教授(発達心理学)は「訓練には成功する層としない層がある。親に愛され、大事にされて育った人は“心の土台”が出来ているので、適度な訓練は効果的。だが心の土台が不十分だと、鍛えられることが苦痛になり、ノイローゼになることも」と言って合宿生活が万能とはいえない面があることを指摘。
★記事のまとめのなかから
@明治大学の三沢直子教授「子供たちはなぜ9歳で成長が止まるのか」の著者。家と木と人を入れ好きな絵を画かせる描画テストから1990年代後半から小学3年レベルで発達が止まる傾向が出てきた。母子中心の狭い人間関係のなかで、心の成長が十分でないことがニート増加の背景にある。
A小杉礼子は高校中退者のニート化が量的にも大きな問題と指摘。
Bニートの問題は教育の根っこの部分にもメスを入れる必要性を示している。
★所感
キャリアカウンセラーを目指すのであれば、若者のフリーター・二―ト問題に関心をもちながら、現場で対応が迫られることを想定し、それなりの対応策を考えてみることが必要ではないかという思いを強くしました
@まずは大きな社会的問題としての常識的・基本的な把握は必要かと思います。
Aこれからは中学、高校生へのキャリア形成やカウンセリングの際に、ニートを生み出す背景(家庭問題、教育レベルの問題など)にある問題意識を反映させていくことも求められそうです。
Bニーとの高齢化に伴い20歳後半から30歳前半の再就職支援活動のあり方にも家庭問題、教育レベルに加えて、就業体験での問題、父親との関係なども視野に入れて取り組んでいく必要がありそうです
CまずはCLのおかれている実態についてきちんと把握することと、傾聴をベースにしての信頼関係をつくり、メンタルも意識しながら臨むのがいいと思います。
D鳥瞰図的な流れや価値観探しなどの前に、もっと根源的なアプローチが必要とされるような気もします。となれば家族療法、論理療法、交流分析などの心理学の基本的なものは学習しておいたほうがいいのかも知れません。
2005.05.14
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