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▼『希望のニート』
本の帯に「ニート対策の現場のプロが書いた若者たちの真実」「この一冊ですべての誤解は払拭されるはず」に付記されていますが、実際に読んでみてそう思いました。
副題に「現場からのメッセージ」とありますとおり、NPO法人「ニュースタート事務局」を設立し、年間200組の親御さんたちと面談をされています。
また「雑居福祉村」という実践モデルをプロジェクト化して活動されています。
その実践活動から、具体的な事例やエピソードを使って、生々しく、有無を言わさず、読み手をニート問題の本質へ引っ張っていってくれます。
今まで玄田氏や小杉氏の本や新聞記事からの紹介をしてきましたが、データ-や、社会現象からの説明でなく、実際に遭遇して体験の中からの主張ですので、説得力があり、問題の本質をついているのかもしれません。(読み手の問題意識で内容の深みが違ってきますが)
また著者自身が変わった経歴の持ち主で、自分自身が落ちこぼれで「ニート」であったといっていますし、実践活動の場もイタリアとの交流活動など広くやっておりますので面白く読める内容です。
私は玄田氏とは違った意味で「フアン」になりました。
ということで、200P以上ある本ですが、面白くて1時間位で読みきることができます。
一読をお勧めいたします。
蛇足ですが、一つだけ主観的にあえて紹介させていただきます。
「ニート対策」の混乱 − ニートには三つのタイプがある(58P)
(16日の勉強会でも紹介しましたが・・)
@就労についてのきめ細やかな情報提供を必要とする層(情報力必要型)
A就労以前に、人間関係が苦手で社会に出てもすぐに挫折しそうな層(社会力必要型)
Bさらに生きていること自体にあまり喜びを感じられない層(人間力必要型)
代表的な対応策(いつもと違って今回は私が省略したいますので詳しく知りたい方は本を見てください)
@に対しては「ヤングジョブカフェ」政策
Aに対しては「若者自立熟」政策
Bに対しては例えていえば「四国88ヶ所をニートの若者たちと歩く会」のような企画
私見ですが、以上の3つのタイプは、「ニート」や「引きこもり」のいわゆる地下現象的な求職者だけでなく、ジョブカフェやハローワークへ来れるまでになった求職活動者にみられる共通的な問題としてとらえておくべきではないでしょうか。
著者:二神能基
出版社:東洋経済新報社
定価:1500円
by 長朗
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2005.07.20
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