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▼『孔子』
ある朝、仕事が重なり、たまたま5時すぎに出社した。偶然、NHKラジオから聞こえてきたのが、井上靖が書いた『孔子』の「天命」に関するくだり。
思わず、気になる仕事も忘れて十数分聞き耳を立てた。
井上靖は小学校高学年から高校にかけてある時期夢中になって読んだ覚えがある。
最初の作品は「あすなろ物語」だった。また、井上作品に惹かれようとは。
さて、気になる「天命」に話を戻す。
この『孔子』という作品は孔子の架空の弟子・エンキョウに井上靖が自分独自の考えを語らせる形式を取っている。
「天命を知るということは、こういうことでございましょうか。ご自分のお仕事を天から受けた大きな使命だとお悟りになったことが一つ、それと同時に、その仕事が天の緩みない自然の運行の中に置かれる以上、全てが順調に運ばれていゆくということを期待することは出来ず、思いがけない時に、思いがけない困難に、いろいろな形でさらされることもあるであろうということを、しっかりとお悟りになったことが一つ、
・・・中略・・・
吉凶禍福の到来は、正しいことをしようとしまいと、そうしたこととは無関係のようでございます。大きい天の摂理の中に自分を投げ込み、成敗は天に任せ、その中で己が信じた道を歩く!」
(以上、抜粋)
私には、まさに天職と同意に聞こえました。
ますます、天職という言葉は重みのある言葉に思えてきました。
また、この本の中で「仁」、そして「信」についても素晴らしい解釈に出会えます。ぜひ、一度手に取ってみてください。
著者:井上靖
出版社:新潮文庫
定価:590円
by ムーミンパパ
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2005.07.06
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