年だからでなく年がいもなく
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孫との小旅行
孫と松島へ行ったあと山寺を登った
山寺に登り天童で蕎麦を食べて、秋保温泉で1泊するというコースである
幸い天気は寒かったが曇り時々晴れであった
山寺について登り始めたが、いつもは人で1杯になる参道も全くといっていいくらい人影が見えない
静かな階段を3人で1段1段登る
孫は先へ先へと登ってはあえぎながら登る爺婆の姿をビデオの収める
登るにつれて女房は休む回数が多くなる
その姿を見ていると、10年前にアンコールワットに登ったときのことを思い出した
アンコールワットの石段は山寺の石段よりも急である
そこを同じパックの仲間の老夫婦が汗を流しながら、あえぎあえぎ登っていた
年齢をきくと旦那が75歳という
奥さんは「この機会を逃がすとアンコールワットは登れないと思って意を決してきました」と話す
その話をその時は人事のように聞いていたが、今そのときの奥さんの言葉の重さが伝わってくる
山寺の石段登りもこれが最後になるのかもしれない
頂上まで登り、見晴らし台に立つ
いつもは駅のプラットホームのように人波になるのに見晴らし台に立つ人は誰もいない
われわれ3人だけである
人気の無い見晴らし台から眺める眼下の景色もひとしおである
悠久と続く人間の営みの愛おしさを感じる
緑はまだ少ないが墨絵のような雪の残った山々の景色が美しい
⒚歳の孫の目にはどのように映ったのだろう
思い出として残ってくれるといいが
昼過ぎに天童の近くの「吉里吉里」という蕎麦屋へ向かう
私の遠い親戚にあたる人が開いている店である
山形の工業高校をでたあと包丁1本で海外を渡り歩いたが日本に帰ってホテルの料理人として修行を続行
その後考えるところがあって蕎麦屋の開業を目指し、秋保の蕎麦屋に夫婦で住み込んで2年間蕎麦修行したという
開業後は天童市内からは離れた古民家を改造しての店であるが、評判を呼んで客足が絶えない店となっている
そこで「ざいご蕎麦」を食す
孫は若いくせにして、結構職道楽で味にうるさいタイプであるが、蕎麦を口にするなり「これはうまい!」と言ってくれる
蕎麦屋から秋保温泉に向かい早めにホテルに入る
温泉につかり孫を交えて3人で話す時間はゆったりと流れる
これからの孫と老いていく爺婆にとっての大事な時間となってくれた
孫が与えてくれた豊かな時間だった
孫にとっても爺婆との思い出として残ってくれるといいのだが
2010.04.11:
choro
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