年だからでなく年がいもなく

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 ―企業・大学・学生が演じる茶番劇―
石渡 嶺司 大沢 仁 共著 (光文社新書)

表題はどぎついが中身は現場取材を重ね、就職活動について新たな視点からて発信している真面目な本である


2人で5つの章を分担して書いている。二人の共著はこの本が初めてである
第1章 就活生はイタすぎる(イタというのは痛々しいということ)
第2章 大学にとって「就活はいい迷惑」
第3章 企業の「採活」真相はこうだ
第4章 インターンなんてやりたくない
第5章 マッチポンプで儲ける就職情報会社

本書は学生、大学、企業、そして就職情報会社に対する徹底した取材と調査をもとに、現在「就活」の現場で起こっている事実を赤裸々に描いている
そこからつかんだものは、今の就活は茶番劇であるということ。茶番劇については下記のようなことがらについて触れている

学生の茶番劇
・マニュアル本に洗脳され、お辞儀をする角度から挨拶の仕方まで一緒
・中途半端な自己分析をし、他人の勝ちパターンを真似し、イタい自己PRをする
など

大学の茶番劇
・キャリア教育と言う美名のもと、学生たちに就活のノウハウを教える様子
など

企業の茶番劇
・会社の良いとこだけを見せようとする様子
・ワークライフバランスという言葉がはやるとどの企業も「働きやすさ」を働いたことがない学生に必死にアピールする様子
など

就職情報会社の茶番劇
・自ら調べた情報をもとに、マッチポンプ的に学生・大学・企業を煽る様子
など

これらの茶番劇のバカさかげんを感じながらもその役割を必死に演じている
バカさかげんを感じていながら変えていけない。本当は「就活のバカヤロー!」いいたいはず

著者はこのように言う

・学生はマニュアルに洗脳されず、もっと自分をさらけ出せばいい。自己分析をする時間があったら、もっと未来のことを考えるべき「今までバカな学生でしたけど、これから成長したいと思います!」
と話せばいい。学生には腹から出た言葉で就職活動をしてほしい。その人がどんな人なのか?それが、魂のこもった言葉と雰囲気で伝わればいい

・通る学生は、自分のことを普通の会話で表現できる学生。マニュアル本はいらない。用意してきた自己PRもいらない。普通の気持ちよい自分で面接に参加してほしい

・「仕事を楽しまなければならない、自己実現しなければならない」という、一見美しそうな概念自体が、学生や若手社員を苦しませているのではないか

・乱暴な意見かもしれないが、結局、働いてみないことには、仕事の本質も企業の実態も分からないのである

・学生に強くいいたいのは「就活に正解はない」ということである。答えは「探すもの」ではなく、「探す」「考える」などの行為を経たうえで、「決めるもの」でるということだ

・だから、極論のようだが、本書では自己分析もマニュアル本もいらないと断言している
人生に“答え”はない。もっと言うと、人生とは、その“答え”をつくりだしていくものである

・就活という茶番劇のなかで踊らされるのはやめて、人生というドラマを楽しむ勇気を持ってもらいたいものだ

・最後にもう一度、青臭いことを言わせていただく
「就活」とは、企業と社会の未来をつくる行為である。なにより、学生個々人が未来に向けて大きな一歩を踏む出す行為である
その就活が、単なる茶番に成り下がっていて、そこで皆が悩み、苦しんでいるというのは悲しい事態なのではないだろうか

▲「就活バカヤロー」のように自己分析をやらせている身としていろいろ考え
させられる




2009.02.06:choro:count(3,374):[メモ/キャリア]
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