年だからでなく年がいもなく
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映画「マイレージ、マイライフ」
主人公はリストラ請負会社の40歳くらいのベテラン社員
リストラ請負会社って?と思うが、会社がやらないリスト宣告を、その会社へ出向いて
面と向かった「あなたはいらない」と宣告してやることを仕事とする会社
少し前にNHKの連続ドラマでも取り上げられ、こんな会社とこんな仕事があるんだ、と驚きながら観たばかり
会社へ出向くので出張が多い。年間322日出張という実績
「機内が我が家」というだけあって、自宅はワンルームマンションで部屋の中には何もおいていない
生き方も「バックパックに入らない物は背負わない」がモットーで、面倒な人間関係を嫌い、家族とも疎遠。結婚しようというような気は無い
愛情関係も出張先で出会った女性とその場限りの情事を楽しむだけ
根無し草的な生き方である
ただし夢はある
全米を駆け巡る天駆けるビジネスマンとしてマイレージを1000万溜め込むことで、その達成を目前にしている
その根無し草的生き方と、虚業ムードを漂わせるリストラ宣告という仕事遂行のなかでいろいろな出来事に遭遇する
その度に主人公のそれまでの価値観やメンタルに揺さぶりがかけられる
その揺さぶりに反応していく主人公の微妙な変化を見てこちらの心も揺すられる
知らず知らずのうちに、人生や生き方についても考えさせられていく
リストラ請負会社に1流大学をトップで卒業した女性が入ってくる
効率の悪い主張してのリストラ宣告を止めて、ネットの画面での宣告方式を提案しテスト採用される
そのテストに新人女性と主人公がセットにされて各地を飛び回る
その道中での新人対ベテラン対決や、新人を労わりながら育てようとするベテランの態度、そしてそれぞれの情事風景などが展開される
新人が面談した中で「宣告されたら橋から飛び込んで死ぬわ」といった女性が実際に飛び込んで死んでしまうという深刻な落ちもある
疎遠にしていた家族との関係も、妹の結婚式という舞台に向かって次第に変わっていく
妹の婚約者が結婚式当日突然結婚をやめると言い出す
婚約者は結婚してもいいことはないのではないかという不安を言い出す
説得役をやらされた主人公はこういう
「振り返ってみて、君が幸せだったと思えるところには君の傍に必ず人が居ただろう」
根無し草の主人公が言ったから効果があったのだろうか、婚約者は結婚式場の花嫁のところに向かう
キャリア形成では「振り返り」が基本となる
この「振り返ってみて、君が幸せだったと思えるところには君の傍に必ず人が居ただろう」
というセリフ使わせてもらおう
旅先での情事の相手だった女性に次第に心動かされていく
意を決して航空機にのって自宅を訪ねてみるとそこには子持ち旦那もちの主婦が待ち受けていたのだ
主人公は色男役ではNO1のジョージ・クルー二―だが、このときの顔の表情はいい
もて男だからダメージの影がくっきりしていて同情の念が沸き起こる
その帰りの期中で1000万達成というアナウンスと機長お出ましのお祝い
1000万達成と機長との対話は根無し草の主人公の夢だったのだ
新人が面談した中で「宣告されたら橋から飛び込んで死ぬわ」といった女性が実際に飛び込んで死んでしまうという深刻な落ちもある
人生に淡白な一人のリストラ宣告を生業とする中年男の物語であるが、見終わってみると豊かな気分になっている
人が生き方や、人間関係についてついつい考えている自分に気がつく
「ドラマチックではなかったけれど、いい映画だったよね」という女房との1言がこの映画を物語っているかもしれない
2010.05.09:
choro
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