年だからでなく年がいもなく
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映画「グラン・トリノ」
クリントン・イーストウッドの最後の作品になるといわれている映画
老人が主人公
老人は朝鮮戦争に従軍した経験を持もつ元自動車工
なぜかしら心の奥に強い怒りと鬱屈を抱えている
最近奥さんを亡くし、大きくなった息子や孫たちともうまくいっていない
気難しく誰とも関わりをもちたくなくて偏見に凝り固まっている
東洋人に対する偏見などはすごい
そんな主人公の隣にアジア系移民モン族の一家が引っ越してきた
モン族というのはラオス、タイ、ベトナムの高地に住んでいた民族であるが、ベトナム戦争のときにアメリカ側についたためにアメリカへの移民の選択をした民族である
テレビでドキュメントとして放映されたのを観たが、優れた民族として紹介されていた
この映画でもその片鱗が随所にでてくる
その老人と隣に引っ越してきたモン族の少年との関わりが映画の大きな柱となる
老人は少年との関わりのなかから自らの人生を変えていき、生きる意味を掴み取ろうとする
不思議な映画である
老人と少年の友情と再生物語、頑固老人の残された孤独人生の開拓物語、草食系少年の自立物語、人生とは、生きるとはという哲学物語、モン族の移民社会物語などなどいろいろなテーマが盛り込まれていて観る人の視点で映画の中身が変ってくる
われわれ熟年者にとっては、頑固で偏屈で孤独な老人が少年とのかかわりのなかで自分らしい人生を終えようと決意して立ち上がる姿に自分を重ねて観ていくのではないだろうか
男の美学に通ずるような感じで、山田洋二お得意の下級武士の生き方を思い出したりする
この映画は最後の結末が感動的である
知ってしまうと面白みが半減するので紹介しない
ラストに海岸風景が続き、歌が流れる
余韻のある画面で、観客はハンカチを握り締めたじっとすわり続ける
熟年男性が勇気をもらえそうな映画
2009.05.14:
choro
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