年だからでなく年がいもなく
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今、ここで
先日東根市の老健施設に入院している義母の見舞いに行ってきた
仙台から作並街道に入り東根に向かった
街道はその日の朝も雪が降ったらしく、一面雪景色である。その景色を楽しみながら女房と取り留めのないことを語りあいながら進んだ
仙台をたって一時間、まもなく東根に入ろうとしたとき、前の車が突然止まった
なんだろうかといぶかりながらも一本道なのでそのまま止まって前の車が動くのを待つことにした
対向車が一台も来ない。止まっている車の列は長そうな感じがする。じっと待つこと30分。一向に動く気配がない
時刻はちょうど12時半であった。腹もすいてきたがじっと待つしかない
カウンセリングで「今ここで」ということを言う
より良いカウンセリングを行うために、治療場面はすべてクライアントが「現在」の自分とカウンセラーとに直面するようにセッテングされるのである。これはクライアントとカウンセラーが純粋な個人としてぶつかり合えるために「今ここで」を大切にしていくということ
そのためにクライアントが空想し始めると、「あなたは今、何気づいていますか?」「今何を感じていますか?」と問いかけて、今に戻す働きかけをするのである
これがカウンセリングでいう「今ここで」と言う意味
最近ガンになって、人生に限りがあることを意識するようになった
その意識のなかから、今を大切に、今が最高、今の幸せ、というような「今意識」を持つような生き方を心がけるようになった
特に今の幸せを感じたいと思うようになった
極言すると「今ここで幸せを感じているか?」ということを自分に問いかけながら生きていくということである
1時間がたっても車の列は動く気配はない。衝突事故があったらしいと言う話が伝わって来た
腹もすくし、イライラ感も出始めるが、今ここでの幸せ感はなんだろうかと自分に問いかけてみる
雪景色を見ながら車という密室で女房と2人きりで話ができるなんて幸せだー 、なんて
と思っているうちに尿意を模様してきてしまった
さー困った。次第に我慢ができなくなる
「外へ出て立ちションしたいんだけで」と女房に話しかけてみたら、「恥ずかしいからやめて!」、と言う
女房が車の小物入れから何やらを取り出した
先日防災訓練を受けた時に貰ったという緊急用のおしっこ入れの小袋である
渋滞時を想定して何気なしに車の中に入れていたらしい
説明書を読んでみたら、袋の口におしっこをしたらそれがゼリー状に固まるようになると書かれている
もう我慢ができない、背に腹はかえられない、思い切って使ってみることにした
女房は笑いながら目をそらしている
老いたるジュニアを取り出して、おもむろに袋の入り口にあてがい、放尿しようとしたがなかなか思うように出てくれない
こんな姿勢からジュニアをしげしげと眺めるのは初めてである
ジュニアをなだめすかしてなんとか出し切った
安心感と放出感とが交じり合ってなんともいえない奇妙な幸せ感に浸ることができた
「今、ここで」の幸せ感は、車内での放尿と言う小さな幸せ感だった
滑稽な幸せ感となってしまった。2人でげらげら笑ってしまった
些細な密室での秘め事であったが、2人とも車中に閉じ込められていたいらいら感は忘れてしまっていた
2009.02.24:
choro
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