年だからでなく年がいもなく
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術後19ヶ月目の外来診察日
いつもの通り8時50分に採血する
予約時間は10時である
後は呼び出しをじっと待つだけ
大学の外来待合室はない。廊下の両側に長いすが置かれているだけ。そこに座って待っている姿はお互いに見え見えである
見るからに末期がんと思われるようなやせこけた人も目の当たりにする
この患者はもう助からないのだろうか、などと思いながら眺めたりする時もある
10時20分なっても呼び出しがかからない
今日は11時から3ヶ月に1度のCTの予約があるのだ
受付にその旨申し出るとすぐに呼び出しがかかった
主治医の声でないのでおかしいなと思いながら部屋に入ると初めての先生
主治医の○○先生は今手術中なので私が担当させていただきます
「○○と申します」と胸にかけた名札を指し示しながら丁寧に話し出す
「とくに変ったことはございませんか」
「まだ腫瘍マーカーの数値がと届いていませんが、他の数値には異常はありません」
「長山さんの場合、今までの腫瘍マーカーの数値の動きは正常内で安定して推移してきていますからおそらく今回も大丈夫でしょう・・・」と淡々と話す
「これからCTの検査ですね。CTの結果を知りたいでしょうね。異常があればご自宅に電話することにしましょう。はいお大事に」
3分もかからない診察である
「とくに変ったことはございませんか」という質問は身体的なことに関しての問いかけであるとしか受けたれない
「最近再発におびえて夜中目を覚ますと眠れなくなりました。困っております。」と話したくても話せない
そのような精神的な悩みや気持ちの変化などについて受け付けるような雰囲気ではないのである
ガン患者は身体的な悩みと共に精神的な悩みも抱えているはず
とくに末期ガンの患者や余命宣告をされた患者の精神的な悩みは大きく深いはず
それらの悩みはどこへもって行ったらいいのだろうか
患者はどう処理しているのだろうか
医者はデーターをみてエビデンスで物言うだけで終わりなのか
それでいいのだろうか
患者の心を置き去りにして成り立っている不思議な医療の世界である
11時からCT検査受診
副作用も出なくて無事終了
いつもの通り検査と手術で1ヶ月ほど入院した8Fの病室へ行ってみる
廊下の端の窓から見える風景を暫くじっと眺めてみる
入院時思った「早く退院したい!退院したら・・・」という想いを思い出してみる
今生きている重さを噛みしめる
昨日の雪で、今日の8Fからみる街の屋根、屋根は白い幕で覆われている
生きている思いが一瞬、ホワイトカラーで彩られたような気がした
2009.02.02:
choro
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