年だからでなく年がいもなく
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「老いはじめた日本」
「老いはじめた日本」と題して上野 千鶴子は次のように述べている
『私達の社会はすでに「近代化」の課程を通過してしまったことになる。だと
すれば近代化を推進してきた様々な価値観や理念を転換しなければ、次の時代
を生きぬけないのは自明だろう
私達の世代は、成長に対する信頼を持っていて、時間が経てば事態は今より良
くなるだろうという根拠のない信念を持つ傾向があるのに対し、それから30年
たった今の若い世代は、時間が経てば今より事態が悪くなるという、これも根
拠のない身体化された不安の感覚を持っているように感じる
楽観的で革新的な親の世代のもとで、不安と守りの子ども世代が育ったから
だ。「僕等が若いころは・・」と自分達の価値観を押し付けることは止めた方
がよい
彼等が置かれている環境は、30年前とはすっかり変化しているからだ
気がつけば自分が高齢期に近づいている
だれも教えてくれなかった時代と世代の経験を、私達は迎えようとしている』
● 私達は自らの生きがいを追及していくと同時に次の世代への配慮も忘れな
いようにしたいものである
その1つが、成長に対する信頼を持ちながら育った私たち世代と、不安と守り
の意識の中で育った子どもたち世代とのギャップについて関心を払うというこ
とではないか
川崎昌平は「若者はなぜ正社員になれないのか」(ちくま新書)で述べている
『勝手に絶望するな、とお叱りの言葉もあるだろうが、しかし、彼らに罪はな
い。現在の若者と呼ばれる人種が物心ついて以来、あらゆるマスメディアは現
在と未来をともに悪い方向でしか伝えようとしなかった。知識人や評論家もし
かり。常に「未来は今より悪くなる」やれ地球温暖化、やれ高齢化社会、汚職
がどうで、食品の安全問題がどうだ云々、咀嚼しやすい言葉達を飽きもせず舞
台に引きずりあげ、政治、経済、社会、文化のあらゆる側面において、幾度と
なく警鐘を鳴らし、危機を叫び、前途に暗雲たれこめる由を声高に主張し続け
た。
この風潮にどっぷり浸りつつ成長してきた現代の若者達は「自分達の収入は、
親の世代のように増えることはない」「負担はこれからさらに増加する」「環
境問題を筆頭に、地球規模で明るい要素はない」と幾重にも覆われた「明るく
ない未来」を、いついかなる時も頭上に感じつつ、生きているのである』
● 若者の再就職支援を行う際に思い出す内容である
2008.09.09:
choro
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