年だからでなく年がいもなく
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映画「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」
2時間30分の長い映画ですが、最後まで画面に引き付けられっぱなしでした
物語は20世紀カルフォルニュアを舞台に、しがない鉱山労働者が石油採掘によって富と権力を手に入れていく姿を描き出します
一つの大河ドラマでありますが、いわゆるアメリカン・ドリームの物語ではありません
欲望に取り付かれた一人の男の魂の叙事詩であり鎮魂歌のように感じながら観ていました
監督ポール・トーマス・アンダーソンは人間の魂の闇の部分を冷静に、冷徹に描き切っています
それができたのも主人公を演じたダニエル・デイ=ルイスの熱演があったからこそといえます
ダニエル・デイ=ルイスの熱演は狂気を感じさせるくらいの渾身の演技です
彼の演技は最後まで観客の目を離しません
この演技で数々の男優演技賞を受賞しているのはうなずけます
脚本も素晴らしくストーリー性でも観客をひきつけています
富、権力が中心であるが、親子の愛憎、宗教がらみのコミュニティ、肉親愛憎などもちりばめられていて物語に奥行きと巾を持たせています
富と権力にがんじがらめにされた一人の男の物語
何故かしら70年近く人生をやり、平凡な父親で終わろうとしている私の胸を打ちます
音楽も普段の映画音楽とは違った音楽です
不安感を引きたてるような雰囲気の音楽で、作品全体を支配しているように感じました
大河ドラマ的な壮大な長編作品でありますが、映画らしい映画といえるのではないでしょうか
2008.05.09:
choro
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