choro note

▼映画「最後の忠臣蔵」

10:20からの上映であったが、休日とはいえ満員になった
圧倒的に高齢者が多い
その高齢者たちを満足させる映画である

ストーリーは忠臣蔵の結末のところから始まる
大石内蔵助から二人の赤穂浪士が討ち入りまえに使命を与えられる

一人は寺坂吉右衛門(佐藤浩一)であり、一人は瀬尾孫左衛門(役所広司)である
寺坂吉右衛門は、討ち入りの真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよという使命
瀬尾孫左衛門は大石内蔵助の隠し子を親代わりとなって育てあげ、嫁がせるという使命である
16年もの長い間寺坂吉右衛門は死に損ないと、瀬尾孫左衛門は命惜しさに逃げた裏切り者と言われてきた

盟友であった二人は相手の使命を知らないまま16年を過ごしてきたが、再会を果たす
そして相手の討ち入りに加わらなかったわけがわかるのだ

瀬尾孫左衛門は隠し子“可音”を育てあげ、豪商の嫡男に嫁がせる
婚礼の行列に多くの赤穂浪士が馳せ参じお祝いの言葉を述べる
瀬尾孫左衛門の汚名も晴れるのだが・・・
最後の結末が待っている

武士としての生き方、忠義がメインテーマになっている
それに隠し子“可音”の育ての親瀬尾孫左衛門への恋ともいえる思慕
使命を帯びたがために討ち入りに加われずに英雄になれなかった二人の武士としての情などがからむ
人形浄瑠璃の曽根崎心中が随所に活かされて日本的情緒を醸し出す

日本人の心の奥底につい最近まで持っていたような心情が呼び覚まされるような映画である
分かりやすく、感動しやすく、安心して観れる映画
133分という上映時間の長さは気にならない
役所広司と佐藤浩一の演技は素晴らしい
顔がアップで映る場面が多いがこの二人だからこそ表現できる渋さが観られる
可音の桜庭ななみも初々しさがでていていい

四季おりおりの京都の竹林を中心とした風景も美しいし、曽根崎心中が演じられる芝居小屋の情景も楽しい

日本人だから感動できる映画と思っていたら、ロスアンゼルスでも同時公開され喝采を浴びたという

「北の国から」を作った監督杉田成道は平均年齢70歳を超えた老人スタッフが寄り集まって古き良き日本映画を再現しようとしたというがまさしくそのような映画ができあがった
職人技で仕上げられた日本映画である

朝から熟年男女で満員になるはずである


2011.01.11:choro
[2011.01.13]
役所宏司と佐藤浩市 (長朗)
[2011.01.13]
今年も映画を楽しみましょう (こもれび)

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