choro note
▼映画「シングルマン」
1962年のアメリカのある街に住む50代のホモの男性の愛と葛藤の「人生の一日」を描いた映画
ゲイのパートナーであるが恋愛映画である
主人公は16年間同棲していた恋人を交通事故で亡くした
主人公の心の痛みは深く、心の傷と悲しみは深まるばかり
そこで彼は決断する
勤めている大学の研究室の中を整理し、貸金庫の中身を空にして、自分の死に衣装まできちんと揃える
彼はピストルで自殺することを決めたのだ
だから描写される一日は「人生の一日」でなく「最後の一日」といっていい
その一日を独特な映像と音楽で淡々ときめ細かく描いていく
腕のいい職人芸を観るような美しさであり、画像の切り替わるテンポも小気味よい
監督は世界的に有名なファッションデザイナーであり、異業種からの初参入
主人公を演じたコリン・ファースの繊細な演技もあり、主人公の孤独感や悲しみがひしひしと伝わってくる
(コリン・ファースはこの映画でベネチア国際映画祭の主演男優賞を受賞している)
映画全体に独特の美しさが張り詰めていて、質のいい小説を読むような気持ちにさせてもらえる
エンデングの字幕が出ても20人くらいおった観客は誰も席を立たない
観終わったあと孤独感や切なさのようなものが残り続ける
ホモの世界の描写も自然で美しく切ない
観終わったあと女房は、「主人公の心の痛手は奥さんを亡くしたからだろうと思っていた」と語る
そう思ってしまうような描写であった
帰りの車中、人が人を愛すること、孤独などについて思いを巡らしていた
2010.11.19:choro
[2010.12.05]
ジュリアン・ムーア (長朗)
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美しい60年代 (こもれび)
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