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▼ガンと闘う医師のゲルソン療法 −その1−

星野仁彦 マキノ出版

著者は現在福島学院大学福祉心理学部教授である
自ら大腸がん転移性肝臓がんを告知された
告知時に大学病院勤務医師であった著者が手術後20年間にわたって実践し再発を防いでいる栄養療法を公開した本である
医師の立場で代替医療を実践し、そのことを本に表すことは勇気のいることと思いながら読み進めた

ゲルソン療法とはドイツの医師マックス・ゲルソンが1930年代に開発した療法である
がんを全身の栄養障害として捉え特殊な栄養療法、食事療法で治療する方法で大量の生野菜ジュース、塩抜き、脂肪抜きの食事などがその柱となる

他の食事療法との違いは塩分の摂取である
日本の甲田療法や森下療法ではむしろ塩分が必要なものとして積極的に進めている
また野菜ジュースの量も違いの1つである
正式のゲルソン療法は1日13回、合計2000ccから3000ccの野菜ジュースを摂取するとなっている

ゲルソン療法の基本は下記の通りである
@完全菜食主義(少なくても治療開始の数ヵ月間は動物性食品をいっさい摂らない)
Aニンジンジュースなど大量の野菜果物ジュースの摂取
B完全な無食塩
Cカリュームやヨードの補給
D穀類は未精白のものを摂取
Eコーヒー浣腸

以上のような正式なゲルソン療法の原理(正式な方法)を行うのは至難の業となる
そこで著者は自らが省略しようと判断した部分は省略して行って再発を防いでいるのである
それを「簡易版ゲルソン療法」と称している

「簡易版ゲルソン療法」の基本は下記の通り
@無塩食
A油脂類と動物性蛋白質の制限
B大量かつ多種類の野菜ジュース
Cアルコール、カフェイン、タバコ、精製された砂糖、人工的食品添加物(着色剤、保存剤)などの禁止
Dいも類、未精白の穀類(玄米、胚芽米、全粒粉)などの炭水化物、豆類、新鮮な野菜や果物(国産)堅果類(クルミ、ナッツ、アーモンドなど)海藻類を中心とした食事

ゲルソン療法との違いは
@ゲルソン療法では禁ずべきものとしてあげられていた豆類、特に大豆や大豆の加工品(納豆、豆腐)などは積極的に摂る
A野菜ジュースは本来1日の服用量は従来に比べて少くし、1回400ccを1日3〜5回飲みにした
B次の方法を併用とした
1・ビタミンCの大量摂取(1日2000〜3000ミリグラム)
2・ビタミンB類の接収
3・リトリール(アミグダリン)の注射と錠剤の服用
4・薬草茶の飲用(スギナ、ヨモギ、ドクダミ)
5・尿療法
6・玄米黒酢、黒ゴマ、亜麻仁油など使用

以上が星野教授の実践内容であるが、第3章において「ゲルソン療法によるガン勝利者の証言」と題して12名の患者自身による体験報告が100p余りにわって紹介されている
星野教授の指導のもとに「簡易版ゲルソン療法」に取り組んでがんを治した報告である
福島の方々が多く東北人として身近に感じる報告で励まされる

4章において「なぜゲルソン療法はガンに有効なのか」と題して医師としての科学的根拠を詳細に述べている
そのなかで、かなり進行したガンや末期ガンは、残念ながら治らないということと、1点至上主義の危険性を説いている

そこで最後の5章でホリステック医学を紹介している
栄養・食事、免疫療法とメンタルケアの組み合わせであり、東洋医学を含めた心と体の両面から総合的にアプローチする治療である
医師でなければ書けない内容であり参考になると同時に勇気づけられる

画像 ( )
2010.10.26:choro
[2010.10.28]
ゲルソン療法 (佐藤 準一)

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