choro note

▼我が家にはとの巣が

女房が「おとうさん!ここから見てごらん!」とうれしそうに窓を少し開けて外を指差す
何ごとかと指差すほうをみると一羽のはとが木陰の間でじっとうずくまっている
「はとが巣を作ったのよ、オスとメスが交互にたまごをだいているんだわ」と女房がいう

窓は洗面所の窓
木陰は道路と洗面所あいだに植えつけた5、6本の小さな樹である
その樹の枝と枝の間にいつの間にか巣をつくり、たまごを生みつけたのだ

巣があるとわかってからは、時たま聞こえるクックッという泣鳴き声やバタバタと飛び立つ羽音が気になる

朝起きたときはまず窓をあけてはとにご挨拶
洗面所の近くへ行くたびに、窓からそっと覗いてみる
同じ姿勢でじっとたまごをあたためているはとの姿が目に飛び込んでくる

がんばっているね、がんばるんだよ、と心のうちでつぶやいてみる

この樹は30年あまり前に、小学生だった長男と次男とで植木市で買い、3人で植えた樹である
長男と次男はもう40歳を過ぎた
はとが巣を作っている樹を見ながら3人で樹を植えている情景を思い浮かべる

女房も窓から眺めてはその度に「いるよ、いるよ!」と報告にくる
カラスが近くにくるとサンダルをつっかけて玄関を飛び出していく

我が家の樹にはとが巣を作ってたまごをあたためるなんて
そんな場面に遭遇できるとは思ってもみなかったこと
これから小さな命の誕生を迎えようとしているのだ

丈夫な雛が生まれてほしい
巣にじっとうずくまっているはとの姿が健気なに思えてならない

はとは平和の象徴であるが欲張って平和を幸せと考えてみたい
がんを患っている身、巣にうずくまっているはとの姿に元気づけられる
暫くはうずくまっていてほしい


2010.06.10:choro

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