choro note
▼セミナー『本番に強くなる』
主催:日本コーチ協会東北チャプター
講師:福島大学人文社会学群人間発達文化学類教授 白石豊
受講料:3000円
参加者100名余 〜 コーチ、コーチング関係、研修関係、企業人など
講師は現在わが国おけるメンタルコーチの第1人者といわれる実績を持っている
代表的な実績は、日本ハムファイターズ、アトランタオリンピック女子バスケットボールのチーム、バンクーバーオリンピックの田畑選手などに対するコーチとその成果である
自分のメンタルコーチングに関する考え方と活動について、2時間余話したが、話だけでなく、バンクーバーオリンピックの映像、日本ハムの練習風景、岡田監督の福島大学付属中学校での講演などの映像の放映もあって印象的な講演であった
講師がメンタルコーチの道に入り込んだいきさつや、その後のコーチ道の探求の仕方やそこで出会った人々についての話から始る
話の主題は「本番に強くなる」という題が示すとおり、本番でうまくいかないと悩み苦しんでいる人々に対して肝心な場面でどうすれば実力を発揮することができるか、というこのはずであるがその方法については具体的には話さなかったと受け止めている
自分なりに推察してみると、誰にも通用する具体的方法などはなくて「いいメンタルコーチ(著書やセミナーでの講義も含めて)について、本人が意識改革を行って行動を変えていくしかない」ということになるのではないか
それでは「いいメンタルコーチ」とはどういうコーチを指すのかということになる
「いいメンタルコーチ」についても明確には触れていなかったと思うが、講師自身がたどってきた道と、その間に学習してきたことや選手との関わり方の紹介が、「いいメンタルコーチ」のイメージに結びつく
コーチングは10年あまり前にアメリカから導入されてビジネスコーチングとして流行のようにして広まった
あちこちでコーチングのセミナーが開催されそれを飯の種にする団体や人が増えた
10年前に企業の研修部門を担当していたので、企業内にコーチングを取り入れようと思いいろいろなセミナーに積極的に参加して学習してみた
未熟な学習のなかで掴んだ自分なりのコーチングのポイントとは
「コーチングとは過去に実績をあげた選手が自分のやり方を押し付けるとか、罵声や指示命令だけで人を動かすやりかたではない
コーチが選手に「いい質問」をして、選手が自分で考え、やり方を自分で選択して、自らが行動に移せるようにしないといけない
その違いは、選手がスランプに陥ったときに分かる
いいコーチから指導を受けた選手は、自分でスランプを克服できるが、過去の実績や罵声に頼る旧来型のコーチから指導を受けた選手はスランプを脱出できないという
この理論はコーチとアスリートの関係だけでなく企業内の上司と部下や、親子関係にも当てはまる」である
理屈だけ聞くとそのとおりと思う
それで、ビジネスコーチングを企業の組織活性化と人材育成を目指して取り入れようと試みるが、実際にはなかなかうまく機能してくれない
受け入れるトップの人に対する考え方や組織が持っている文化や人事評価制度がネックになるケースが多い
目先の成果だけを期待して取り組んでもうまく行かない
機能させるためにはコーチングに関する「哲学」が必要なのである
白石講師はコーチングがアメリカから入ってくる前から、独自の問題意識と視点を持ちながら、コーチの道を究めようと試行錯誤で取り組んできたという
そしてたどり着いたのが、東洋的思想・哲学をベースに仏教や日本人の生き方を見据えた独自のメンタルコーチである
話はそれるが、キャリアについても同じようなことを感じている
アメリカから入ってきたキャリアを日本で根付かせるには、日本人としての倫理観や哲学から見直してみることが必要ではないか
講師は現在福島大学付属中学校の校長も兼務され、教育の現場でも活躍されている
コーチとしてだけでなく人間として、教育者としての魅力を兼ね備えた人物とお見受けした。今後のご活躍を期待したい
もう1度メンタルコーチングを学習し、実践してみたいと思う講演であった
2010.03.19:choro
⇒HOME
(C)
powered by samidare