choro note

▼シャンソンプロムナード東北大会

大学時代の友人K君は70歳になろうとしている今でもシャンソンを歌うことを趣味としている

○○電力を退職したあと本格的に取り組んで10年、いつの間にかセミプロ的レベルになっていろいろな発表会で披露している

自分で選んだ歌をプロの指導を受けながら毎日地道に練習を繰り返し大会に臨む
衣装もその歌にあわせてその都度調達している

今回の発表会は音楽事務所主催で年1回行われる「シャンソンプロムナード東北大会」
戦後復興記念館で午後5時からの開演
出場者は宮城、秋田、岩手の3県からの男女29名
K君は11番目の登場

皮の背広に身を包んだK君は颯爽と登場
髪は黒々としていて身のこなしも若々しく古希を迎えた年齢とは思えない
髪はかつらでなく本毛であるが染めた、と後で聞いた

今回選んだ歌はアズナヴールの「おお我が人生」
スポットライトを浴びながらフランス語を交えながらシャンソンの歌い手らしく表情豊かに歌う姿は別人のK君を見るよう

「おお我が人生」を歌うK君は何を思いながら歌っているのだろうか
K君は10年前に奥さんをがんで亡くして今は一人暮らしである
歌が支えになっている
歌うK君の頭の中は、歌だけ、歌い切るということだけ、だろう

この会の出場者の年齢は40歳から80歳までの中高年齢者の大会である
副題が「べラージュ(Bel Age 美しき年代)たちの挑戦」となっている

プログラムにこう書いてある
『Bel Age (美しき年代)達のステージは、お互いに楽しみながら自分の歌を聴いていただき、又、他の方の歌を聴かせていただいて、「歌うことの楽しさ」を分かち合い、今後の自分の人生を「誇らしく優しく主張できる場」として活用していただきたいと思います。自分の「持ち味」を生かしたステージを!!』

「馬子にも衣装」でなく「中高年齢者にも衣装」である
70歳を過ぎたお年寄りたちが、豪華で派手やかな衣装に身を包んで表情豊かに歌いまくる

女房と2人で1番前で観ていたので、スポットライトが顔を照らすと見えなかったシワが浮かび上がる
帰り際に足元が危なかしくなる人や杖をつきながらの登場する歌い手も混じる

家では専業主婦や爺婆なのだろうがここではスポットライトを浴びて歌える歌手なのだ
そんな一人ひとりの歌を聴き、姿を観ているとシャンソンの世界を通り越してしまう
歌い手一人ひとりの人生にブラボー!なのだ

29名謳い終わったあと審査に入り、その間ゲストのプロの歌手の出演もあった
今回は札幌から堀ひろ子さんという歌手が出演
中年になって網膜はく離で失明したというが、今までのシャンソン歌手とは違って力強く感動的な歌い方であった
  
最後に審査の結果発表
グランプリは秋田の女性の歌い手が受賞
友人K君は残念ながら入賞は逃したが、次の大会に向かって挑戦していくことだろう

歌はK君の奥さんであり、恋人であり、生きがいとなってしまっているに違いない
続けていってほしい、われわれ熟年者のためにも

ブラボー! K君



2010.03.16:choro
[2010.03.27]
涙をふいて (長山 永寿)
[2010.03.25]
ありがとう ! 持つべきは親友です。  (菊地 和彦)

HOME

(C)

powered by samidare