choro note

▼映画「戦場のワルツ」

駅前での買い物が終わって、近くで上映している映画を調べたら桜井薬局・セントラル劇場で上映されている「戦場のワルツ」があった
名前からして「戦場で敵兵同士が仲良くなって平和の時間を作りワルツでも踊るような映画だろう」と勝手に想像して入ってみたが全く違う内容の映画であった

内容はともかくとして、まずは、映画はアニメだったのだ
あれ!〜? 最初はアニメだけど、そのうちに普通の画面に変わるのかなと思いながら見ていたが一向に変わらずにアニメの画面が続く
これはまずかったな、と思いながら観続ける

最初は内容も良くわからなかったが、次第にイスラエルとパレスチナの戦争を題材にしているアニメであることが分かってきた

30分くらいたってアニメ映画であり内容も予想と違うと分かったと時点で、隣の女房に「帰ろうか?」と声をかけたら、「最後まで見ましょう」という
観続けることにした

イスラエルの若き兵士が戦場での記憶を喪失していることに気がつく
兵役時代の友人を訪ねて、レバノン内戦での経験と関連した悪夢について聞かされる
失われていた記憶のなかに、難民キャンプ村での虐殺事件があった

若き兵士は心理学者や兵役時代の仲間からの話や、当時活躍していたジャーナリストからの情報などから、自分が遠ざけていた忌まわしき記憶へと到達していくのである

忌まわしい記憶とは虐殺の記憶
映画の最後は若き兵士が虐殺の夜の記憶を取り戻し、画面がアニメーションから虐殺場面を伝えるニュース映像に変わって映画は終わる

イスラエルのアニメ映画で、画像は切り絵のような絵である
実際の人物にインタビューした内容をインタビューした相手の名前を表記しながらその人物をアニメにしている

ナチスからの虐殺にあったユダヤ人たちがパレスチナ人の虐殺を行う
キリスト教系の民兵に虐殺をさせて、イスラエルという国は傍観者の立場をとる

先日も「カティンの森」という映画でソ連によるポーランド将校の虐殺の映像を観たばかりでその感想として「暗い画面を観ながら想うのは人間というのはどうしようもないおろかな生き物なのだ、そして恐ろしい生き物なのだ、・・・」と書いたばかり

アウシュヴィツで虐殺されたイスラエルも同じように虐殺を行ったのだ
「カティンの森」の感想をさらに上塗りしたくなる

イスラエルとパレスチナとの戦いがベースになる映画であるが、虐殺という人間としての業のような問題と同時に中東戦争の問題についても考えさせられる
切り絵のようなアニメの絵を観ながら不思議と想像が掻き立てられる

帰ってから検索してみると、数々の賞を受賞している映画であった

早とちりで入館したのは失敗と思いながら観始めたが、次第にアニメにも、内容にも感動するようになり、見終わったあとは「観てよかった」と思えた映画である

2010.02.28:choro

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