choro note

▼家事雑感

セカンドライフプランのセミナーで定年前の受講生に「自立せよ!」と促し、「自立とは身の回りのことでできることは自分でやること!」などといいながら、当の本人は家事をやっていなかった

人生の残り時間も少ないと思い、あわてて今年の正月に「家事をやる!宣言」をして,ようやく家事を始めた
まずは食器洗と風呂掃除と掃除洗濯である

三度の食事の後自分の食べた食器を洗う
洗剤の使い方などを教えてもらって始めた
一生懸命洗ったつもりの食器が、女房のチェックを受けると何故かしら洗剤や汚れが残っているのである

何度も注意を受け、そのたびにムっとしたりしていたが最近は手の指と平をうまく使うことを覚えた
大きな肉厚の手をタワシ代わりに使う

始めたころは効率を求めて食器の洗う順番や置き場所も決めてやっていたが、最近は無心になってただひたすら洗い、片付けることに専心するようにしている

家族とテレビの画面を背にし、黙って食器を洗う時の気持ちは今まで味わったことのない心境である

何十年とこの立ち姿でいろいろな思いを抱きながら黙々と食器洗いを続けてきた女房の心境をふと思い浮かべる
悔し涙、怒りの涙で洗ったこともあっただろうと

風呂掃除はやってみると結構ハードな運動である
中腰になってスポンジで洗う作業は思っていたよりもきつい
恥ずかしながら,今、自分でやってみて、その大変さを実感する

洗濯は洗濯機に入れるだけなので体力的には楽である
最初は洗う量や種類と洗剤の量や時間の調整がうまくいかず、その都度女房から教育的指導を受ける

洗濯ものを干しているとき子どもたちのおしめを洗って干している女房の姿を思い出した

女房は3人の子どもが続けて生まれたので6年間おしめを洗い続けた
おしめは紙おむつでなく 古い浴衣などをほごしてつくったものだった 
今改めて感謝したい・・・・というのは嘘。今までおしめ洗いは当然のことと思っていた
洗濯物を干してみて、初めて感謝できた、というのが本当の話、

洗濯物を干すために2階の干し場に上がって周りを見たとき感動してしまった
初めて見る不思議な景色である
青い空のなかに家々の屋根が広がる
視界がまったく違うので別の世界にきているような思いをいだく
魔女の宅急便の魔法の箒に乗って町並みを眺める気分である
洗濯物を干すときは楽しい気分

家事を始めて女房から大分教育的指導を受けた
多少ムッとしたりもしたが老夫婦のとっては主役交代の場となってくれた

家事に関しては女房が主役である
現役時代はどうしても旦那主役の舞台であったが引退後は主役交代しながらの舞台のほうがいい
 

家事の指導を通して女房が旦那にお小言的に言えるのもいいのではないか
今までは旦那が稼いでくるからということで、ひょっとしたら言いたいことも言えないで、我慢していた部分もあったかもしれない

江戸の仇を長崎で・・というのはこまるが、家事の舞台では主役になって大きな声で自分らしく言えるようになるのもいい
旦那は脇役に徹していればいい
家事の指導を機会にして、物言える女房になるのも歓迎すべきこと


息子たちは父親の家事をやる姿を見て冷やかしたりするが、歓迎してくれているのがわかる
息子たちはすでにやっていることなのだ

若い父親は家事をやる姿を子どもに見せてくれるといい
小子化対策、ワーク・ライフバランスなどの基本はまずは父親が実際に行動してみせることからスタート

今頃になってこんなことを言うのは遅きに失しているし、厚かましいとは思うのだが・・

2009.10.01:choro

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