choro note

▼映画「歩いても歩いても」

作品「誰も知らない」の是枝監督の作品だから,はずれは無いだろうと思って映画館に入ってみました
結果は期待通りの映画でした。結構入っていましたが観客の大半が60代以上の女性でした

ストーリーはある家族の一日を描いている家族劇(ホームドラマ)といえるようなものです

町医者の父親と母親、姉夫婦と子どもたち、失業中の息子とその女房と子どもが15年前に亡くなった長兄の命日に集まります
長男は医者でしたが、おぼれた少年を助けようとして亡くなったのです
失業中の次男は美術系に進み、子どもは奥さんとその先夫との間に生まれた子どもです

男尊女卑の匂いがする父親(原田芳雄)と女性として扱われなかったと思われる母親(樹木希林)はしょっちゅう口喧嘩しています
姉は稼ぎのわるい旦那と二人の子どもを抱え、チャンスを見て父親の屋敷に2世帯住居を作ろうと狙っています

ドラマチックといえば、命日ということで亡くなった長男が助けた少年が成人した姿で、仏様を拝みに来るくらいです
その元少年を毎年呼び寄せている母親の魂胆は・・・・(映画を観てください)

あとはどこの家族にもある命日に家族が集まる情景が続くだけです

母親がおもてなしの心で手作り料理に励む情景が食材や料理をする音なども含めてこまかに執拗に映し出されます
表面的には賑やかな大勢での食卓風景、子どもたち家の内、外でうるさくも遊びまわる情景
なかには母親が風呂場のなかで入れ歯を洗う姿が写されたりしてびっくり
周りの老女たちがいっせいに笑い出しました

平凡などこにでもある家族の情景ですが、その中に老夫婦、主人公夫婦の関係、医者である父親と医者でない息子のギクシャクした関係、母親と娘の関係、姑と嫁との関係、父親と種が違う子どもとの関係などが、さりげないような会話や普通の情景の中にがうまく表現されています
結構きつい会話や表情がでてきます
そのたびにどきりとさせられます

この映画を観た人たちは、映画の場面をどこかで観たような気持ちにさせられるはずです
そこに自分や家族の姿を見出して、苦笑いもするはずです
そしてラストシーンに安らぎと明るさを感じるはずです

是枝監督は自分の母親を3年前に亡くしたことからこの映画を作ろうと思い立ったのだそうです
さりげない家族の描写を、愛しさとおかしさをこめて描いています
厄介な問題を引きずりながらも家族を続けていく姿を温かい気持ちで観ることができるはずです

毎日平凡に続けている家族関係のなかに、生まれてきた幸せの原石が眠っているといったらおおげさでしょうか

明後日から我が家にも長男家族3人と次男夫婦2人が集まります
賑やかに食卓を囲みます
家族それぞれがどんな思いで4日間を送るのでしょうか

2008.08.10:choro
[2008.08.22]
観てきました♪ (uhuhu)

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