作家の森まゆみ氏をお迎えしたシンポジウムが盛況のうちに終了しました
3月16日に開催された「神奈川大学 長井 まちづくり研究所」主催のシンポジウム「歴史を活かした長井のまちづくり」は、たくさんの皆さんにお出で頂き、無事、終了しました。 基調講演として作家で文化庁文化審議会委員の森まゆみさんが、東京の下町についてスライドを使って紹介しながら、古い建物はそれ自体も大切ですが、文書や掛け軸などその建物に伝えられたモノに物語が存在することがより大切であるとお話されました。また、工場や染め物屋が残っているということは、それに関わる職人や技術が伝えられていること。20代からまちづくり活動を始めたが、古くからの繋がりが強い下町で溶け込むまでに様々な努力をなされたこと。不忍池や富士見坂のような地域環境を守るために色々な取り組みをされたことなどを分かりやすくお話頂きました。郷土の歴史を知るというのは難しいことではなく、自分が生きてきた今に繋がっている時間の流れを知ることで、またまちなかの古い建物を守ることは単に建物だけではなく、孫子の代にまちのストック(資本、蓄積)をきちんと渡す大事な取り組みであり、これは市民自身が情熱を持って頑張って行くべきであるとエールを送って頂きました。 長井市教育委員会の村上和雄さんは、長井市内の水路・小道のスライドを上映しながら、普段、市民でさえ見慣れすぎていて注意を払わない水路の護岸の石組みを紹介頂き、まち歩きの魅力を改めて気がつかせて下さいました。 ながいフットパス推進会議の菅野昭浩さんには、当地でのフットパスの先進的な取り組みと今後の最上川を使った新たな構想を紹介頂き、川、水路、小道を融合させたフットパスの今後の展開に大きな期待を抱かせて下さいました。 ヤマガタ蔵プロジェクトの二階堂佳子さんは、今回の出席者の中では唯一の学生さんでしたが、東北芸術工科大学の学生が中心となって進めている山形市での蔵を活用した取り組みについて紹介頂きました。6年目を迎える息の長い活動であり、毎年切り口を変えながら工夫している様子を伺いながら、蔵の多い当地でも様々な仕掛け方が出来る筈であると自信を持つことが出来ました。 コーディネーターの神奈川大学建築学科教授西和夫先生からこれからのまちづくりは「無いものねだりではなく、有るもの探し」が大切であり、地域に伝わる様々な資産を活かして行くべきであるとご指摘頂きました。 今回のシンポは、当地のまちづくりを考える上で大変貴重な機会でした。今後のまちづくり研究所の活動にご期待下さい。そして、共感頂ける方と是非、ご一緒に取り組んで参りたいと存じます。
2008.03.20