さがえ九条の会

▼防衛庁の「省」昇格関連法案がもっている意味その@

  〜五十嵐仁の転成仁語より〜

 先週、防衛庁を「省」に昇格させ、自衛隊の海外活動を本来任務へ格上げする防衛庁設置法や自衛隊法などの「改正」案が、衆院安全保障委員会で自民、民主、公明などの賛成多数で可決されました。午後の衆院本会議でも可決され、参院に送られました。
 
この法案が成立すれば、防衛庁は来年1月上旬にも「防衛省」となり、防衛庁長官は「防衛相」に格上げされる予定で、今まで形式上、首相を経ていた法案提出や海上警備行動発令の承認を得る閣議要求などは、防衛相が直接行うことになります。また、自衛隊の国際緊急援助活動や国連の平和維持活動(PKO)などだけでなく、テロ対策特措法やイラク特措法に基づく米軍支援の活動、周辺事態での米軍に対する後方支援など、海外での軍事行動が国土防衛や災害派遣と同等の本来任務に位置づけられることになります。
 
この法案の成立は、少なくとも、三つの意味を持ちます。 
第1は、日本が軍事に関わる国家機関の縮小ではなく拡大をめざしているというメッセージを国際社会に発することになるでしょう。「軍事大国化をめざしているのではないか」という周辺諸国などの懸念に対して、「その通りです」と答えようとしているのが、この法案の意味です。
 第2は、自衛隊の性格を決定的に変え、「専守防衛」の国是を投げ捨てることになります。この法律が成立すれば、自衛隊は海外派兵を「本来任務」とする「外征軍」へと変貌することになるでしょう。
 第3は、法的な下克上が生ずるということです。国の基本法である憲法が変わらないのに、その規定に反する法律が堂々と成立することになるからです。
 この第3の点については、教育基本法「改正」案の成立についても同様です。個別立法が基本法の規定を踏み越えてしまうからです。

 これは、究極の「実質改憲」だといえるでしょう。この点について、もう少し詳しく説明させていただきます。

2006.12.04:aone

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