さがえ九条の会

▼2006年政治展望

構造改革の「痛み」押し返し 平和憲法「活かす」たたかいを
『全国商工新聞』(2006年1月9日付)

 
 今年は、大変厳しい年になる。先の総選挙で大勝した与党が、全面的な攻勢に出ることが予想されるからである。
 国政選挙がないから、悪政に対する国民の審判を恐れる必要がない。野党第一党の前原民主党は「提案路線」に転じ、悪政へのブレーキ役を放棄してしまった。9月に辞めるつもりの小泉首相は、「イタチの最後っ屁」で、やりたい放題やるだろう。
 こうして、構造改革による「痛み」が、大挙して押し寄せてくるにちがいない。小泉首相の“悪政商店”が「閉店セール」を開くようなものだ。これを押し返し、翌年に向けての展望を切り開くことができるかどうかが06年の課題となろう。その焦点は、07年春のいっせい地方選挙、夏の参院選に絞られることになる。
 
生活を破壊する嵐がやってくる
 政府・与党は、来年度に向けて所得税と住民税の定率減税廃止と給与所得控除の縮減、配偶者・扶養控除の廃止を図ろうとしている。消費税も、07年度からの2けたへの引き上げが画策されている。庶民の生活を直撃する大増税が、嵐となって吹き荒れるにちがいない。
 「福祉破壊」もいっそうすすむ。年金の給付削減と負担増、障害者福祉での個人負担増、介護保険での自己負担増に続いて、来年度は、高齢者の医療費負担が引き上げられる。歳出削減のための社会保障関係費の見直しもある。「三位一体改革」でも、義務教育と生活保護への国庫負担を削減し、国の責任を放棄しようとしている。
 「お金がなく、制度を維持できない」というのがその理由だが、800兆円弱にまで長期債務を増やしてきたのは、小泉首相を含む歴代の自民党政権である。失政のツケを国民に払わせるような暴挙を許してはならない。
 大増税と「福祉破壊」は国民の可処分所得を減らして生活不安を増大させ、内需を冷え込ませることになるだろう。9兆円の負担増によって景気回復の芽をつんだ橋本内閣の愚を繰り返そうというのだろうか。軍事費や公共事業の無駄をなくし、収益増で笑いが止まらない大企業や金持ちから税金を取り、景気回復によって税収増を図ることこそ、本来のあるべき姿だろう。
 
進路が問われる従米・属国路線
 結党50周年で改憲案を発表した自民党は、1月の国会に国民投票法案を提出するとしている。年明け早々から、憲法をめぐる攻防が始まることになろう。併せて、在日米軍の再編・強化と自衛隊との融合・一体化が進められようとしている。世界のどこででも米軍と一緒に戦える軍隊に変えるためである。
 小泉首相の従米・属国路線は、靖国神社参拝などもあって周辺諸国の警戒感を高め、関係悪化を招いている。もし、最後の置き土産として8月15日に靖国神社を参拝するようなことになれば、日本の外交は決定的なダメージを受けるだろう。その前に、「死に体」へと追い込まなければならない。
日米安保条約は日本の安全破壊
 今年は、イラクからの自衛隊撤退も現実的な問題となろう。日米間の「安全保障」体制が平和と安全を保障しているのかが、本格的に問われる年になる。安保があるから日本が狙われる。それは「安全保障」ではなく「安全破壊」体制なのだという本質が、白日の下にさらされるにちがいない。
 平和憲法を変えるのか守るのかという問題は、日本の進路を問う重要な争点として06年の底流を流れ続けるだろう。必要なのは、憲法を「変えるより活かす」ことである。そう論じた拙著『活憲―「特上の国」づくりをめざして』を、先ごろ上梓した。強まる改憲攻勢をはねかえすだけでなく、反転攻勢のための“武器”として活用していただければ幸いである。

2006.02.12:aone
[2006.02.15]
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