絵の作者、神保先生は昭和59年・昭和60年の2ヵ年でしたが本校で美術の教師として教鞭をとっておられました。
[画像]
原画展1
下記は本校での原画展の開催に尽力してくださった、遠藤岩根先生(本校の社会科で長く教鞭をとっておられました)の原画展開催にあたっての文章です。
ローマ教皇ベネディクト16世は、一昨年6月に、日本におけるキリシタン迫害時代に信仰をまもるために命を捧げられた殉教者の生き方を讃えて「福者」とされることを宣言された。福者とは聖人にいたる前段階とされる。そして昨年11月に、188人の殉教者が福者になることが許される列福式が長崎でとり行われた。その式典に間に合うように出版されたのがこの本である。
188人の殉教者は一つのグループではなく、全国各地でそれぞれ別の日に殉教された人たちであった。その中でもいちばん殉教者の多かったのは米沢における甘糟右衛門をはじめとする53名の信徒であった。
徳川家光は、第3代将軍の宣下を受けた1623年12月に江戸のキリシタン50名を火あぶりの刑に処した。このことはキリシタン弾圧に向けての断固とした自分の意思表示であった。このような江戸幕府に抗してきた米沢藩も、直江兼続を、そして景勝公を失って以後、幕府の厳しい姿勢に抗しきれずに、結果的に藩主定勝公は53名のキリシタン処刑を命じたのである。1629年1月のことであった。
米沢で行われた処刑は、よその藩でおこなわれた寒中の水攻めや熱湯による拷問等とちがっていた。それは武士として立派な最期を、あるいはキリシタンとしてのほこりを失わせることのない、全国に類を見ない、まさに上杉家の、直江兼続の愛をうけつぐ措置であったといわれている。
ところでこの本の原画を担当された神保先生はあとがきに「一人ひとりの人物を私なりに愛し始めていた。この本の作画にあたり、自信のもてるのはただそれだけ。力量不足の私には殉教者達の珠玉の魂には、はるかに迫り得なかった」と記しておられる。しかし私が何回か展示場当番していて閲覧者のかたがたの賛辞を多く耳にした。どの人物にも、愛を込めて書いておられる絵と文を読まれて涙される方も少なくなかった。さいわい英訳付きのこの本が海外を含めて、もっと多くの人々に届けて欲しいと主張された小学校の先生もおられた。
「絵本と呼ぶには内容がありすぎる。見事な迫真性をもって語りかけてくる」。「過ちを繰り返さないためにもいまこそ殉教者に光を当てねば・・」。「文良し、絵よし、見事という他なし」とコメントを寄せて下さった山形市在住の元学校長の文でこの本の紹介を終わりにしたい
2009.9(文責遠藤岩根)
[画像]
原画展2
絵本は山形市内や米沢市内の各書店や米沢カトリック教会でも取り扱っています。
絵 神保亮 文 筒井義之 訳 千原通明
出版 カトリック新潟教区 定価 2,100円
発行所 ドン・ボスコ社
〒 160−0004 東京都新宿区四谷1−9−7
TEL 03−3351−7041 FAX 03−3351−5430
9月20日から23日までの連休中、米沢カトリック教会で原画が展示されています。詳しくは、0238−23−1699までお問合せください。