春を待つ頃

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今年の冬は、山形県村山地方置賜地方共に平年並みの積雪、道路の路面の状態はここ2、3年では最も良好といった所。片道67㎞の道のり、流石に冬は厳しい。若い時はそうでも無いが、年を取るほどに車を運転することに恐ろしさが加わって来るような気がして仕方が無い。スリップすることに若い時にはさほど恐怖を感じなかった。今の方が恐い。大抵は経験を重ねる程に慣れて平気になるものが多いのだが・・・。


 例えばラグビーのタックル、しかも身長180㎝以上、100㎏を越える巨漢フォワードに正面からタックルに行くのは(例え、年を取ってそのほとんどが贅肉だと分かっていても)最初はかなり恐怖感が伴うものだ。しかし、何回か経験すると(かなり痛い目を見るのだが)臀筋の肉離れを起こしたりはするものの、かなり平気になる。


しかし凍結道路での運転はそうは行かない。これは度重なるスリップの記憶、恐怖の記憶が消え去ることなく、体の芯に蓄積されて行くからに違いない。信号が青になって先頭車両として発進しようとしたら360度回転したとか(180度だったら大変だ、後ろのトラックと正対することになる)、ブレーキを踏んだら180度回転して路肩から落ちたり(大した段差もなくて、車も壊れなかった)、止まれ止まれと祈りながら(もちろんブレーキを踏んでいる)それでも追突したりと、恐怖の経験は山ほどある。普段は忘れていても、何かの折にふっと想い出して背筋が冷たくなる。間違いなくトラウマとなっている。


 今年の冬も、あと長くて3週間ほどだろう。本当に春が待ち遠しい。
この気持ち(本当に待ち遠しい気持ち)は雪国に住む者でなくては実感するのは難しい。アグリパークZAOの草原は今雪に埋もれて一面白一色。転々と野兎や狐や狸などの足跡が印されているばかり。音の無い本当の静けさの中にある。当初思ったほどの積雪はなく約80㎝ほどだと言う。


 今年の積雪量は、ほぼ平年並みなので、温暖化の進行を考えれば、今後ここに施設を作ったとしても、そう困難な状況にはならないだろうし果樹などを栽培するにしても、かなり選択の巾は広がるだろう。農業には様々な困難が付きまとう。しかしだからと言って、どうでもいいなどと言えるものでは無い。焦らず一つ一つ積み重ねて行こうと日々自分に言い聞かせている。
春よ来い、早く来い。


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2013.02.26:agrizao:[Okuyama's Column]