郷土料理あげつま

▼トランヴェール・6月号

「トランヴェール」とはJR東日本が発行している旅の情報誌で
新幹線の座席に一部ずつ置いてあります。
「食の本場から」という連載コラムに当店が掲載されました。


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「山形のおかひじき」--シャキシャキとした食感 山形の常備野菜
山形県の内陸部を走る山形新幹線。「おかひじき」の産地はまさにその沿線にある。もともと海岸で自生していたおかひじきが今、海から遠く離れた地で旬を迎えている。


「おかひじき」は、花を呼ぶ野菜と言われている。山形県内陸部では、桜の便りとともに店先に並び始めるからだ。花見の季節ともなると、山形名物の玉コンニャクなどと一緒に重箱の一角に添えられる。料理としては辛子和えが最もポピュラーで、家庭菜園でも当たり前のように種から育てられ、10センチほどになると収穫される。
 そもそも「おかひじき」とはどんな食材なのか。
 「もともとは最上川の河口南側の海岸線に自生していた、アサガオ科(ホウレンソウなどの仲間)の野草でした」と話すのは山形県農林水産部の阿部清さん。形状が海草のひじきに似ていることからその名が付いたという。記録によると、古く寛永12年(1672年)から栽培されていたことが分かっている。
 江戸期、種と栽培技術は庄内で育てられたが、重要な交通路であった最上川を船で運ばれ、船着き場のあった南陽市に上陸、そこから内陸に広がったとの説がある。以来、庄内や最上地方ではあまり食卓には上らず、山形市・南陽市・上山市・東根市など、山形新幹線沿いの内陸部で主に栽培され、好んで食されている。
 「おかひじきの特徴は、やはりそのシャキシャキとした食感でしょう。この辺りでは、セリやミツバのような感覚で使われています」と語るのは、天明2年(1782年)創業の「郷土料理あげつま」8代目のご主人・揚妻奉昭さん。同店では、各種の山形料理とともに、4月の中旬ころになると、おかひじきがメニューに加わる。
 この時期、山形を訪れたら、スーパーの野菜売り場をのぞいてみよう。ネギやキャベツと同じように、みずみずしいおかひじきの姿を目にすることができるはずだ。

「トランヴェール6月号・食の本場から」より抜粋
2005.05.12:郷土料理あげつま

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